笹子地黄霊験記その12
笹子地蔵霊験記の表題を開設するのに3ヶ月以上の月日が経ってしまった。
長泉院に伝わる「悪犬退治と笹子地蔵」の伝説には深い意味がると考え苦悩してきたからです。
そして古事記や日本書紀を分析することで自分なりの結論に達することができました。
日本武尊一行が信濃坂で道に迷い白い狼の案内で美濃国へ抜け出せたという日本書紀の一節。
実は信濃坂でなく足柄坂で起きたことで、白い狼の案内で足柄峠を越えて甲斐国へと向かうことが出来た。
苦境を脱した日本武尊は、走水の海で身を投げた弟橘姫を思い出し「ああ!妻よ」と3回叫んだ。古事記ではこの部分だけが記された。
本来なら上記のような内容だったのが、古事記では白い狼が道案内をしたことを省かれ、日本書紀は場所を足柄坂以外とされてしまった。
この結果レイラインで結ばれた秩父の三峯神社などでは白い狼が眷属として篤く信仰されてきたが、足柄地域では眷属としての白い狼は信仰の対象として残ることは無かった。その結果白い狼からご加護をうけることは無く、逆に祟りではないかという事さえ起きるようになった。
鎌倉時代に板屋窪の長者は、地域の守護神として金比羅堂を祀り白い狼の祟りから救われることを祈願いたしました。
天狗様は白い狼の神霊を鑵主石に封じ、自らは天狗石に鎮座し人々の安寧を見守ることを約束いたしました。
鑵主石にはお堂が建てられ地蔵堂として今日にいたっております。
天狗石にもかってお堂が建てられていましたが、今は石垣でしかお堂があったことを知ることはできません。
いずれにしても古代から霊験あらたかな笹子地蔵を地域の守護神として思っていただければ幸いです。
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